「俺たちは……俺たちも、女を守る男らしい世代なんだよ」常日頃からそうやって騒いでいる婚約者のタカトが、まさか、浮気をしているなんて……。浮気相手は、よりにもよって親友であるミサキ。うっかり浮気現場に踏み入ってしまった私は……。「結局、お前はミサキに嫉妬しているだけなんだろ?」実際にマスコミが騒いでいる言葉の数々で、ののしられた。「ぎゃはは。お前はもう結婚できないんダー! お前が俺の"悪口"を言ってきて、"嫌がらせ"で訴えてきたところで、俺には不動産があるから大丈夫なんだー!」全く反省しないタカトとミサキ。けれど、私は知ってしまう。ミサキには、遊び相手のタカトではなく、本命の婚約者がいたのだ。――W不倫だったんですね。じゃあ、あなたの婚約者は私がもらいます。私に婚約者を奪われたと騒ぎ立てるミサキ。顔面は蒼白。ミサキはこちらを見ながら、唇をわなわなと震わせている。ミサキにすら相手にされなくなるタカト。気が狂って財布から一万円を取り出し、ミサキに「金をやるから、見捨てないでくれ」とすがりつく自称男らしいタカト。おまけにタカトが言っていた不動産の正体は、とんでもないもので……?そして、私は……。「君のことが好きなんだ」
文字数 103,094 |  最終更新日 2021.3.29 |  登録日 2021.2.21