――運命というものがあるのなら、それを信じたいと思う。
両親を亡くし天涯孤独の身となった由依は、偶然知り合った大智にずっと心に秘めていた願いを話す。
「血の繋がった家族が……子どもが欲しいんです」
交際相手もいない由依だったが、大智はそれを笑わず聞いてくれた。
――そして、
「僕では……駄目かな? 君の子どもの父に……」
思ってもみない申し出を戸惑いながら受ける由依。
優しく甘い夢のような一夜は幕を開ける。
「約束、して……。僕の前から消えないって……」
会ったばかりなのに切なげに大智に懇願される由依。けれど由依は、はなからその約束を守るつもりはなかった。
――それから数年後。由依は大智と再会する。
大智に優しかったあの日の面影はなく、冷血弁護士と呼ばれていた。そして由依の生活も一変していた。
☆瀬奈 由依《せな ゆい》(26)
幼い頃から憧れていた保育士として働く。
☆阿佐永 大智《あさなが だいち》(27)
選択肢が限られたなか、しかたなく弁護士となった。
※年齢は開始時点
【作中に登場する場所や企業は創作上のものです。また、職業について実際と異なる部分があるかと思います。全て作者の拙い想像の範囲です。ご了承ください】
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