若手実業家として名を馳せ、美女に囲まれ
享楽的に生きてきた男――榊宏雅。
初めて本気で愛した先妻を失って以来、
宏雅は夜を越えられなくなった。
妻にと望まなければ。
結婚で縛らなければ。
重ねて、幸せな過去に引き戻すような悪夢に、
夜ごと胸を引き裂かれていた。
深い喪失を抱えた男が、孤独な夜を
越えるために見出した方法は――
誰かの肌の温もりに縋ること。
そんな荒れた宏雅の前に現れたのは、
かつて関係を持ち、いつしか愛し、
手放さざるを得なかった女……葵。
料亭での偶然の再会。
また惹かれ合い、交際を始める二人。
けれど、二人の距離はなぜか埋まらない。
葵が、朝まで過ごしてくれない理由も、
彼女が距離を取る本当の意味も、
分からないまま。
誰にも見せられなかった心。
言えなかった弱さ。
すれ違う想い。
それでもこの恋が、
夜を越えさせてくれると信じて――。
これは、不完全な男と、彼を想う女性が紡ぐ、
甘くて切ない大人の恋物語。
文字数 5,651 | 
最終更新日 2026.1.15 | 
登録日 2026.1.10